香典返しはマナーが大切!渡す時期や金額・品物選びの基本的なマナーを解説

更新日: 2021.11.12(金)
公開日: 2021.11.12(金)
弔事

「香典返しって誰にどんなものを送ればいいの?」

「マナーを軽んじて、関わってくださった方たちに失礼がないようにしたい」

この記事を読んでいる方は、はじめて喪主・喪家となり、上記のような疑問や不安を抱えているのではないでしょうか。

弔事のマナーは学校教育で習うものでもないため、核家族化が進んでいる現代では、いざその時が来るまでマナーを知らない方も多いようです。

そこでこの記事では、葬儀の際の香典返しで、大切にしたいマナーを解説します。

この記事を最後まで読んでいただければ、弔問客や参列者に失礼のない香典返しができるようになりますよ。

まずは香典返しが、いったいどんなしきたりなのか、確認しておきましょう。

香典返しとは

香典返しとは、香典をいただいた方に対し、お礼の気持ちを込めて返礼品をわたすことを言います。

また四十九日がすぎ、無事に法要を済ませられた報告を兼ねて送るのが一般的です。

というのも香典には、遺族が負担する葬儀費用を少しでも助けたいという思いが込められています。

そのため香典をいただいた方の思いを受け止め、無事に法要が済んだことを報告するのも、香典返しを送る意味と言えるのです。

香典返しは通常、香典をいただいた方には必ずお渡しするものと考えておきましょう。

会葬御礼との違い

香典返しと混同しやすいのが、会葬御礼です。

香典返しが香典をいただいた方へのお礼であるのに対し、会葬御礼は通夜や告別式に参列してくださった、すべての方にお渡しするお礼です。

よって会葬御礼は通夜や告別式の当日、500円~1,500円程度のタオルやお茶などに、清めの塩と御会葬御礼の挨拶状を添えてお渡しするのが定番です。

ではいっぽうの香典返しは、どのタイミングでどれくらいの品物をお渡しするのがよいのでしょうか。

順番に解説していきます。

香典返しを渡す時期のマナー

さきほども紹介したように香典返しには、無事に法要が済んだことを報告する意味も込められています。

そのため香典返しを渡す時期は、忌が明けたタイミングが一般的です。

宗教によって異なる香典返しの時期

忌が明けたタイミングといっても、宗教によってその時期は異なります

仏式の場合と神式の場合、キリスト教式の場合で比較してみました。

宗教香典返しの時期
仏式四十九日後
神式五十日祭の後
キリスト教式30日目の追悼ミサの後(カトリック) 1ヶ月後の召天記念日の後(プロテスタント)

本来、神式やキリスト教式に香典返しの習慣はないのですが、仏式にならって約30日後に返礼品をお渡しするのが通例です。

即日返しする場合もある

香典返しは地域によって、即日返しする場合もあります。

即日返しとは、葬儀の当日に香典返しを行うことです。

いただいた香典の金額に関わらず、一律の香典返しをお渡しします。

即日返しのメリット・デメリットは以下の通りです。

即日返しのメリット即日返しのデメリット
・配送料がかからない
・配送の手間がかからない
・渡しそびれる心配がない
・会葬御礼と間違われる場合がある
・高額な香典をいただいた方には、別途香典返しが必要

即日返しは、費用や手間がかからないこともあり、地域の慣習に関わらず行われるケースも増えてきました。

しかし高額な香典をいただいた方に対しては、後日追加でお礼をされたほうがよいでしょう。

では次に、香典返しの金額に関するマナーを解説します。

香典返しに相場はある?金額のマナー

香典返しの相場は、いただいた香典の3分の1~半分(半返し)が一般的です。

たとえば1万円の香典をいただいた方には、3,500円~5,000円相当の品物をお渡しします。

香典には、葬儀にかかる遺族の費用負担を軽減したいという気持ちが込められているので、高額な返礼品を用意しなくても大丈夫です。

一律の即日返しをお渡しした場合は後で調整が必要

香典返しを即日返しにした場合、いただいた香典の金額によっては、香典と香典返しの額が釣り合わない場合が出てきます。

上記のようなケースでは、後日別の品物を用意してお渡ししてください

たとえば1万円の香典をいただいた方にたいして、即日返しで2,000円の品をお渡しした場合、後で1,500円~3,000円相当の品をお渡しするといいでしょう。

香典返しの渡し方のマナー

香典返しは、挨拶状を添えて郵送するのが一般的です。

ただ特別親しい間柄だった方や、お世話になった方であれば、直接お伺いしてお渡ししてもいいでしょう。

その際は事前にお伺いする日をお伝えし、挨拶状は添えず、直接お礼を伝えてください。

香典返しを贈るときは掛け紙を用意する

香典返しを贈る際は、熨斗(のし)がない掛け紙を掛けるのがマナーです。

熨斗は慶事の際の送りものに添える縁起物なので、香典返しにはふさわしくありません。

黒白結び切りの水引がついた掛け紙を使いましょう。

なお関西から西日本、北陸地方などでは、黄白結び切りの水引が使われることもあります。

また仏式では、蓮の絵が描かれた掛け紙を使うこともあるので、覚えておいてください。

表書きにもマナーがある

掛け紙の表書きには、贈り物の目的を書き、水引の下には送り主の名前を書きます。

香典返しの場合、表書きには「志」と書くのが一般的です。

「志」は宗教を問わない表書きだからです。

なお宗教別の表書きは下記の通りです。

宗教表書きの書き方
仏式忌明志(繰り上げ忌明け五七日忌)満中陰志(四十九日後)※関西~西日本中心
神式偲び草
キリスト教式偲び草召天記念

表書きについては、地域や慣習によって異なる場合があります。

詳細につきましては、葬儀社様などで確認することをおすすめいたします。

送り主名は「喪家の姓」または「(喪家の姓)+家」、「喪主のフルネーム」を書いてください。

香典返しは内のしがマナー

香典返しを郵送する場合は、掛け紙を掛けた品物の上から、包装紙で包む内のしがマナーです。

ただ直接お渡しする場合は、外のし(包装紙の上に掛け紙を掛ける)が主流ですので、使い分けるようにしてください。

挨拶状の書き方

香典返しをお贈りするときに添える挨拶状は、以下の内容をふまえて書きます。

  • 頭語(謹啓、拝啓など)
  • 会葬や香典に対するお礼
  • 忌明けの法要が無事に終わったことの報告
  • 香典返しの品物を贈ったことのお知らせ
  • 本来は喪主が直接ご挨拶に伺うべきところを略儀で済ませることへのお詫び
  • 結語(敬白、敬具など)
  • 日付
  • 差出人の名前

季節のあいさつは必要ありません。

また葬儀や法事が滞りなく済むようにという意味から、文を区切る句読点を使わないのもマナーとされています。

つづいては香典返しの品物を選ぶ際のマナーを解説します。

香典返しの品物選びのマナー

香典返しでは、「不祝儀を残さない」という考えから、後に残らない消えものが好まれます。

食品や日用品など、使い切れるものを選んで贈るようにしましょう。

香典返しでよく選ばれるもの

香典返しでよく選ばれるものは、食べたらなくなる食べ物や飲み物です。

ただ相手がいつ召し上がるかわからないため、日持ちする海苔やお茶、コーヒーなどがよく選ばれています。

また使えばなくなる洗剤やタオルなどの日用品も、香典返しの定番です。

とはいえ日用品は、いつも決まったものを使っている人がほとんどなので、特別感のあるものを選ぶのがいいでしょう。

香典返しにふさわしくないもの

食べ物や飲み物を贈ることが多いとはいえ、生臭ものと呼ばれる肉や魚を贈ったり、慶事に使われるお酒やかつお節、昆布を贈ったりするのはNGです。

また金額がわかってしまう金券やギフト券を贈るのも、避けた方がいいでしょう。

迷ったらカタログギフトがおすすめ

香典返しで何を贈るか迷ったら、カタログギフトがおすすめです。

カタログギフトなら、相手に好きなものを選んでもらえるからです。

直接お送りするのはタブーとされているお肉や魚も選んでもらえるため、香典をいただいた相手にも喜ばれることが多いですよ。

香典をいただいた相手によって異なる香典返しのマナー

香典返しは、香典をいただいた相手によっても意識しなければならないマナーがあります。

ここでは想定される主な4つのケースにて、どんなマナーが大切か紹介します。

4つのケースは以下の通りです。

  • 親族から香典をいただいたときのマナー
  • 会社から香典をいただいたときのマナー
  • 上司個人から香典をいただいたときのマナー
  • 香典返しを辞退された方へのマナー

順に見ていきましょう。

親族から香典をいただいたときのマナー

親族から香典をいただいたときのマナーは、無理に半返しをせずに、可能な範囲でお返しすることです。

親族からの香典は、一般的な香典の相場と比べて高額になることが多いです。

しかし冒頭でもお伝えした通り、香典には「遺族が負担する葬儀費用を少しでも助けたい」という思いが込められています。

親族であればなおさら、上記の思いが強く込められているはず。

したがって半返しにこだわる必要はなく、3分の1程度をお返しするのがいいでしょう。

会社から香典をいただいたときのマナー

会社名義で香典をいただいた場合、会社の慶弔規定にもとづいて、経費から香典が出ている場合があります。

上記の場合、香典返しは不要と覚えておいてください。

ただ品物をお渡ししないとしても、法要が済んだことの報告と謝意を必ず伝えましょう。

社員の有志で香典をいただいた場合は、1人あたりの金額に応じて、お菓子などを持参して謝意を伝えるのが適切です。

上司個人から香典をいただいたときのマナー

上司個人から香典をいただいた場合は、通常と同じように半返し~3分の1程度の金額を目安に、香典返しをお渡しします。

個人からなのか会社からなのか、判断が難しい場合は、担当部署に確認を取りましょう。

また普段から顔を合わせる上司の場合は、忌引き明けの出勤の際に、直接お渡ししても大丈夫です。

お休みをいただいたお詫びの意味もこめて、謝意を伝えましょう。

ただし社内で直接お渡しするなら、役職順にお渡ししてください。

その際は香典を出していない社員の方が気を遣わないですむよう、あまり人目に留まらない場所でお渡しするのがマナーです。

会社の方から香典をいただいた際の香典返しのマナーは、こちらの記事でも紹介していますので、ご確認ください。

香典返しを辞退された方へのマナー

遺族の負担を考えて、香典返しを辞退される方も増えています。

香典返しを辞退された方には、お礼状のみを贈るのが適切なマナーです。

ご厚意はしっかりと受け止め、お礼の品物を贈るのではなく、感謝を言葉にして伝えましょう。

香典返しを寄付する場合のマナー

最近では香典返しに相当する金額の一部を、福祉団体や社会福祉協議会に寄付し、少額の香典返しをする場合も増えてきました。

特に故人が生前支援していた団体がある場合には、香典返しに相当する金額の一部、または全額の寄付を希望されることがあります。

香典返しを寄付する場合は、香典をいただいた方から理解を得ることが欠かせません

香典返しを寄付することを、あまり快く思わない方もいらっしゃいます。

寄付することは故人や遺族の自由なのですが、香典をいただいた方への説明は必要です。

あらかじめ寄付することを決めているのであれば、会葬御礼の挨拶状に書いておくとよいでしょう。

そして寄付した後には、寄付した団体や寄付の額などの報告やお礼を、挨拶状でお知らせしてください。

また香典返しの一部を寄付する場合は、挨拶状と共にお茶やお菓子など少額の香典返しを添えてお送りすると、香典をいただいた方への心遣いが感じられるのではないでしょうか。

香典返しのマナーは地域によっても差がある

ここまでは香典返しの基本的なマナーを解説してきました。

基本的なマナーをおさえておけば、香典返しで失敗することがなくなるはずです。

ただし香典返しのマナーには、基本的なマナーのほか、地域特有のマナーがあることも覚えておいてください。

たとえば相互扶助の精神が色濃く残る北海道では、お返しはお互い最小限にしようという考えから、香典返しは即日返しが基本です。

また関西では、親族以外の香典を受け取らないケースが増えています。

そのいっぽうで九州の一部の地域では、いただいた香典以上の品物をお返しする習慣があります。

地域独自の香典返しのマナーが存在しないか、葬儀社様などに必ず確認しておいてください。

まとめ

香典返しは香典をいただいた方の思いを受け止め、お礼の気持ちを伝えるとともに、無事に法要が済んだことを報告するしきたりです。

お渡しする時期や金額、品物選びにいたるまで、大切にしたいマナーがいくつかあります。

「香典返しだけでも、マナーがたくさんあって大変だ・・・」と思うかもしれません。

しかしマナーを大切にすることは、葬儀に参列してくださった方に礼を尽くすだけでなく、故人をしっかり送り出すためにも必要なことではないでしょうか。

マナーの神髄は、相手への思いやりの心です。

故人に代わり、お悔やみに来てくださった方に感謝の気持ちを届けるためにも、大切にしたいですね。