会社に香典返しは必要?大切にしたいマナーと注意点
「会社から香典をもらったら、香典返しを贈らなきゃだめ?」
「お休みをもらって迷惑もかけるし、失礼のないように香典返しを贈りたい」
このような疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
会社から香典をいただいた際は、香典返しが必要なケースと不要なケースがあります。
そしてそれぞれに、大切にしたいマナーがあるのです。
この記事では、会社に香典返しをする際のマナーと注意点を解説します。
まずはどんなケースで香典返しが必要・不要に別れるのか、確認しておきましょう。
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会社に香典返しが必要なケースと不要なケース
会社に香典返しが必要か不要かは、会社の誰からいただいた香典なのかで判断します。
判断の基準は以下の通りです。
判断基準 | 香典返しの必要・不要 |
---|---|
香典袋の表書きが会社名義 | 不要 |
香典袋の表書きが個人名義 | 必要 |
香典袋の表書きが連名 | 必要 |
香典袋の表書きが有志 | 金額により必要 |
香典袋の表書きが取引先名義 | 必要 |
香典袋の裏面に辞退する旨が一筆されている | 不要 |
香典返しが必要かどうかは、上記の基準に則って判断しましょう。
ここからはそれぞれのケースで大切にしたいマナーを解説します。
会社名義の香典をいただいたときのマナー
会社名義の香典をいただいた場合、香典返しは不要です。
なぜなら会社名義の香典は、慶弔見舞金という福利厚生の一環だからです。
ただし忌引き明けの出勤日に、無事に葬儀が執り行われた報告と、急な休みを取たことのお詫びとお礼を、会社の方に必ず伝えてください。
その際は香典返しという形をとらずとも、菓子折りを持参し感謝の気持ちを伝えるのも丁寧ですね。
なお慶弔見舞金なのか判断しづらい場合は、担当の部署に必ず確認するようにしましょう。
上司や同僚個人から香典をいただいたときのマナー
上司や同僚から個人として香典をいただいた場合は、他の方と同様に香典返しをお贈りしましょう。
香典返しの金額は半返し~3分の1が一般的
香典返しの金額は、いただいた香典の3分の1~半分(半返し)が一般的です。
たとえば1万円の香典をいただいた方には、3,500円~5,000円相当の品物をお渡しします。
香典には、葬儀にかかる遺族の費用負担を軽減したいという気持ちが込められているので、高額な返礼品を用意しなくても大丈夫です。
香典返しの品物は後に残らないものを選ぶのがマナー
香典返しでは、「不祝儀を残さない」という考えから、後に残らない消えものが好まれます。
食品や日用品など、使い切れるものを選んで贈るようにしましょう。
香典返しにふさわしくないもの
食べ物や飲み物を贈ることが多いとはいえ、生臭ものと呼ばれる肉や魚を贈ったり、慶事に使われるお酒やかつお節、昆布を贈ったりするのはNGです。
また金額がわかってしまう金券やギフト券を贈るのも、避けた方がいいでしょう。
社長個人から香典をいただいたときのマナー
会社の社長から個人として香典をいただいた場合も、その他の人同様、いただいた香典の3分の1~半分くらいの香典返しをお贈りしてください。
香典返しの品物は、先に紹介したとおり、後に残らない品物を選びましょう。
ただ社長の趣味嗜好がわからず、下手なものを送りたくないという方は、カタログギフトをお贈りするのがおすすめです。
迷ったらカタログギフトがおすすめ
社長に送る香典返しで、何を贈るか迷ったら、カタログギフトがおすすめです。
カタログギフトなら、社長に好きなものを選んでもらえるうえに、品物の金額を気にする必要がありません。
いただいた香典にあった価格設定のカタログギフトをお渡しすればいいからです。
またカタログギフトであれば、直接お送りするのはタブーとされているお肉や魚も選んでもらえるため、喜んでいただけることが多いですよ。
連名・有志で香典をいただいたときのマナー
会社の方から連名で香典をいただいた場合は、ひとりひとりに香典返しをお贈りします。
品物の金額は、香典の金額を連名の人数で割って、1人あたりの金額の3分の1から半分を目安にしてください。
たとえば2人の連名で1万円の香典をいただいた場合、1人ひとりの香典返しは、1,500円~2,500円程度です。
また大人数の有志で香典をいただいた場合、1人ひとりの金額が3,000円を下回るようなら、無理に香典返しを用意しなくても大丈夫です。
上記の際は忌引き明けの出勤日に、個包装のお菓子の詰め合わせなどを持参し、有志してくださった皆さんにお配りしましょう。
取引先から香典をいただいたときのマナー
取引先の方から個人的に香典をいただいた場合も、他の参列者の方同様に、香典返しをお贈りしましょう。
気をつけたいのは、香典袋の名義と芳名帳の名義です。
取引先から代理の方が弔問してくださった場合、香典返しの送り先に代理の方の名前を書かないよう気をつけなければなりません。
また可能であれば、直接取引先にお伺いし、お礼の言葉と合わせて品物をお渡しするのがいいでしょう。
香典返しを辞退されたときのマナー
会社の方から個人的に香典を受け取ったものの、香典返しを辞退された場合、素直にご厚意を受け取って香典返しをしないのがマナーです。
というのも香典には、「遺族が負担する葬儀費用を少しでも助けたい」という思いが込められているからです。
そのため香典返しを辞退された方には、お礼状のみを贈るのが適切なマナーです。
ご厚意はしっかりと受け止め、感謝を言葉にして伝えましょう。
会社の方に香典返しを贈るベストなタイミングとは
会社の方から香典をいただいた場合、香典返しを贈るベストなタイミングはいつなのでしょうか。
結論から言うと、忌明けに郵送するのがベストなタイミングです。
というのも香典返しは、無事に弔事が済んだ報告を兼ねて送るものだからです。
そのため香典返しをお贈りするなら、忌が明けたタイミングにしておきましょう。
宗教によって異なる香典返しの時期
忌が明けたタイミングといっても、宗教によってその時期は異なります。
仏式の場合と神式の場合、キリスト教式の場合で比較してみました。
宗教 | 香典返しの時期 |
---|---|
仏式 | 四十九日後 |
神式 | 五十日祭の後 |
キリスト教式 | 30日目の追悼ミサの後(カトリック) 1ヶ月後の召天記念日の後(プロテスタント) |
本来、神式やキリスト教式に香典返しの習慣はないのですが、仏式にならって約30日後に返礼品をお渡しするのが通例です
上記のタイミングで香典返しをお渡しする場合、通夜や告別式当日は会葬御礼のみをお渡しするのがいいでしょう。
※会葬御礼とは、通夜や告別式に参列してくださった、すべての人にお渡しするお礼です
即日返しする場合もある
香典返しは地域によって、即日返しする場合もあります。
即日返しとは、葬儀の当日に香典返しを行うことです。
いただいた香典の金額に関わらず、一律の香典返しをお渡しします。
即日返しのメリット・デメリットは以下の通りです。
即日返しのメリット | 即日返しのデメリット |
---|---|
・配送料がかからない ・配送の手間がかからない ・渡しそびれる心配がない | ・会葬御礼と間違われる場合がある ・高額な香典をいただいた方には、別途香典返しが必要 |
即日返しは、費用や手間がかからないこともあり、地域の慣習に関わらず行われるケースも増えてきました。
しかし高額な香典をいただいた方に対しては、後日追加でお礼をされたほうがよいでしょう。
また有志で香典をいただいた場合、人数分の香典をその場で用意できるとも限らないため、代表者1名に香典返しをお渡しすることとなります。
忌引き明けの出勤で直接渡しても大丈夫
普段から顔を合わせる上司や同僚から香典をいただいた場合は、忌引き明けの出勤の際に、直接お渡ししても大丈夫です。
お休みをいただいたお詫びの意味もこめて、謝意を伝えましょう。
ただ忌引き明けの出勤で直接お渡しするとなると、注意点がいくつかあります。
このまま確認していきましょう。
香典返しを会社で直接お渡しするときの注意点
香典返しを会社で直接お渡しする場合、以下の3点に注意してください。
- 香典返しは役職順にお渡しする
- 業務時間外にお渡しする
- 香典をいただいていない方が気を遣わないでいいようにする
香典返しを直接お渡しする場合、役職順にお渡しするのがマナーです。
また香典返しは業務と関係ないことなので、業務時間外にお渡ししましょう。
具体的には朝礼前や、お昼休憩のとき、退勤後すぐなどです。
加えて香典をいただいていない方が、気を遣わなくて済むように配慮してください。
あまり人目につかない場所でお渡ししたり、香典返しを白無地の紙袋に入れてお渡ししたり、工夫しましょう。
郵送だからといってマナーに欠くことはない
会社の方から香典をいただくと、直接お渡しするのがマナーだと感じる人が多いと思います。
しかし実際のところ、郵送でお送りしたからといって、マナーに欠くわけではありません。
むしろ郵送でお送りするほうが、他の人に気を遣わずに済むうえに、帰宅する際の荷物にならないなど、香典返しをもらう側にもメリットがあります。
忌引き明けの出勤の際にきちんと謝意を伝え、香典返しは後日郵送にてお送りさせていただく旨を伝えてください。
香典返しに添える挨拶状の書き方と直接お渡しするときの挨拶例
香典返しをお贈りするときに添える挨拶状は、以下の内容をふまえて書きます。
- 頭語(謹啓、拝啓など)
- 会葬や香典に対するお礼
- 忌明けの法要が無事に終わったことの報告
- 香典返しの品物を贈ったことのお知らせ
- 本来は喪主が直接ご挨拶に伺うべきところを略儀で済ませることへのお詫び
- 結語(敬白、敬具など)
- 日付
- 差出人の名前
季節のあいさつは必要ありません。
また葬儀や法事が滞りなく済むようにという意味から、文を区切る句読点を使わないのもマナーとされています。
直接お渡しするときの挨拶で大切な4つのポイント
また忌引き明けのタイミングで、香典返しを直接お渡しする場合は、以下の内容を含めた挨拶をしてください。
- 忌引きをいただいたことへのお詫び
- 葬儀に参列していただいたことへのお礼
- 香典をいただいたことへのお礼
- 職場に復帰することの挨拶
たとえば以下のような内容です。
「忌引き中はご迷惑をおかけしまして、申し訳ございませんでした。また葬儀に際しまして、ご臨席とご厚志のお心づかいをありがとうございました。おかげ様で、無事に父(続柄)を見送ることができました。本日から業務に復帰いたしますので、よろしくお願いいたします。またささやかながら、供養のしるしをお持ちしましたので、お納めください」
なお香典返しを直接お渡しするときは、挨拶状を添える必要はありません。
葬儀を手伝ってくれた方へのお礼も忘れずに
葬儀にあたり、故人や喪主の職場の方に、葬儀をお手伝いしてもらうこともあるかと思います。
その際は香典返しとは別に、菓子折りなどを準備し、お礼状を添えてお渡ししましょう。
なお葬儀をお手伝いいただいた会社の方へのお礼は、葬儀後3日以内にお渡しするのが一般的です。
また故人の同僚に弔辞を読んでもらった場合も、同様のお礼をお送りしましょう。
まとめ
会社から香典をいただいた際は、香典返しの必要・不要を、以下の基準で判断します。
判断基準 | 香典返しの必要・不要 |
---|---|
香典袋の表書きが会社名義 | 不要 |
香典袋の表書きが個人名義 | 必要 |
香典袋の表書きが連名 | 必要 |
香典袋の表書きが有志 | 金額により必要 |
香典袋の表書きが取引先名義 | 必要 |
香典袋の裏面に辞退する旨が一筆されている | 不要 |
慶弔見舞金としていただいたときと香典返しを辞退されたとき以外は、基本、香典返しをお贈りするものと覚えておいてください。
香典返しの金額は、いただいた香典の3分の1~半返しが相場です。
また忌引き明けに直接お渡ししてもいいのですが、香典をいただいていない方への気遣いや相手の荷物になることを考えると、郵送でお送りすることをおすすめします。
もし会社で直接お渡しする場合は、以下の3点に注意してください。
- 香典返しは役職順にお渡しする
- 業務時間外にお渡しする
- 香典をいただいていない方が気を遣わないでいいようにする